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「カナダ生活(セットアップ編)」
Voila!泌尿器科専門医の竹村です。
さて,いまでこそストレスフリーなカナディアンライフを満喫しておりますが,2021年9月末にカナダにやって来てから生活が落ち着くまでのてんやわんやを記録しておこうと思います。
Vancouver乗り換えの罠
かつてはカルガリー直行便があったようなのですが,COVID-19の影響なのかはたまた季節限定就航か私の渡航時には乗り換えが必要でした。バンクーバー乗り換えで,スーツケースや段ボールを自分で運ばなくてはならなくなりませんでした。さらに,カナダに最初に入国する空港にて各種書類を提出して就労ビザ(Work Permit)を発行して貰う必要があるのですが,そこには長蛇の列・・・刻々と迫るバンクーバー-カルガリー間のフライト時間を気にしながらもなんとか無事に発行していただきました。
余裕を持って2時間半の乗り継ぎ時間を設けていましたが,正直全然足りませんでした!!当たり前ですが,海外旅行と転居とではまるで勝手が違います苦笑。
ちなみに到着時に私の体力と同じくらい削られていたのが段ボールの寿命(よく中身が溢れなかったなぁ)↓
時差ボケとの闘い
隔離用ホテルに到着したのは夜9時頃。そこから軽食を取って,「やっとベッドでゆっくり寝れるぞー」とダイブして眠りに就いてしばし経ち,熟眠感と共に目が覚めて時計を見るとなんと午前1時。目を疑いカーテンをそっと開けてみると外はまだ真っ暗。
再度眠りに就こうとすれど目は覚めていく一方。ようやくウトウトした頃に今度はタイミング悪く絶好調で起床した息子が室内を駆け回り出して結局その後は一睡もできずに朝を迎える・・・そんな日々が3日間以上続きました。
SIN(Social Insurance Number)
カナダで給与を得て仕事をしようと思ったら雇用主へのSIN(日本でいうマイナンバー)の提出が義務です。
しかし,これがちょっと曲者。と言うのも,オンラインで申請すると20日間もの待機時間が発生する上,番号が記載された書類が登録された自宅に発送されるのです。
時差ボケでまともに働かない頭で考えてみましたが,ホテル滞在は最初に2週間だけの予定でありまだ住む家も決まっていない状況下でこれは詰んでいます。
よくよく調べてみると,オフィスに直接出向いてSINを取得する方法があるようでしたので早速タクシーでGo!!
しかし,ここでもバンクーバー空港と同じかそれ以上の長蛇の列。結局2時間以上待ってなんとかSINを取得できました。
住居選定
住む家が決まらないことには様々な事務手続きが一向に進みません。
なので,何よりも先に家を決めることにしました。
RentFasterというサイトで事前に当たりをつけていた物件のオーナーに連絡をとり,到着した翌日には下見を決行。
前のテナントも日本人だったようで,近くには中華街あり小綺麗な室内とダウンタウンに接する利便性から下見1軒目にしてここに決定!!
なお,カナダの住居の契約では値切り交渉はデフォルトですので遠慮せずガンガン値切って私も1割以上まけて貰いました。
AHCIP (Alberta Health Care Insurance Plan)
国民皆保険制度のカナダでは,なんと私のような短期滞在者に対しても公的保険が適応され,なんと全ての医療費が無料となります(歯科・美容,また処方薬代は除く)!!
これはなかなか日本に居ても知らない人が多いのではないでしょうか。
恥かしながら私もここで暮らすまではアメリカ同様の医療格差を想定していたので,この手厚い社会保障に感銘を受けました。
なお,申請に際してはフォームを入力して,必要書類を持参してRegistry Officeに赴くだけです。
その場でHealth Care Numberが発行され,数週間後に自宅にカードが郵送されます。
銀行口座開設
カナダでは銀行口座開設の際には予約が必須です。
そしてその予約が1-2週間先まで埋まっていたりします(特に週末は混むので)。
また,日本では「PRESTIA」など除きあまり一般的ではない口座維持手数料がかかることも多いので要確認です。
代表的なメガバンクとしては,日本人ワーホリに大人気「TD Bank」やカナダ最大手銀行の「Royal Bank of Canada」などでしょうか。
なお,口座開設時に現住所が確認できる書類(契約書や運転免許証など)と電話番号が必要となります。
運転免許証申請・自動車保険加入・ナンバープレート取得→ようやく車購入
短期の滞在であれば国際免許証あるいは必要時にUber使用でも良いのでしょうが,一定期間暮らすのであれば北米において車の購入は必須と言えます(利便性の高いダウンタウンに住んでいても最寄りのスーパーまで徒歩で20-30分ほどかかる)。
まず,運転免許証は日本領事館で翻訳を依頼すると1週間ほどで書類を作成してくれます。
また,車購入に際して注意すべこととして,カナダでは民間の自動車保険への加入がマストです。
複数社に問い合わせて判明したこととして,日本のドライビングヒストリーは考慮されないか,されても本当に微々たるものであり一般に保険料が非常に高額です($4,000-7,000/年!)。
さらに,日本との大きな違いとしてナンバープレートを自分で取得する必要があります。必要書類(ビザ,パスポート,住所証明書類,日本の運転免許証の領事館による翻訳書類)を揃えて事務所に赴けばその場で発行可能です。
これらの手続きを経て晴れて車の購入の準備が整います。
SNSなどを通じて個人売買している人も多いのですが,トラブルも多いため車の知識があまりない場合には多少割高になってしまいますが,ディーラーでの購入がオススメです。
中古市場では日本車とドイツ車が特に人気なようです。
冬になると外気温マイナス30度にまで達するここカルガリーでは寒さのせいでエンジンが掛からなくなってしまうこともあるようで,屋外駐車場には必ず電源プラグが設置されております(私のドイツ車は幸い一度もトラブルなく冬を越せました)。
上記,最低限の生活のセットアップだけでも約3週間かかりました。
「これをやるにはあれが必要」,「あれをやるにはそれが必要」,とたらい回しにされたり,金曜の夕方は規定の営業終了時間前にも関わらず「もう遅い時間だから対応できない」と追い返されたり,対応する事務員によってコロコロ必要書類が変わったりといった不自由さも感じましたが,振り返ってみれば比較的スムーズにセットアップを完了できたように思います。
便利さや快適さを求めるのであれば慣れ親しんだ日本で暮らすのが一番なのでしょうが,こうして試行錯誤しながら道を切り拓いていくのが海外生活の醍醐味ではないでしょうか。
なんだかこれ,何かに似ている感覚だなと思って考えてみたら,子供の時に熱中していたテレビゲームのRPGそのものなんですよね。
テレビゲームのように何度もやり直しが効かないのが人生なので慎重にならなければならないところもありますが,適度にリラックスしながら海外生活も楽しんでいきたいと思います。
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