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「留学準備(就職活動編)」#2 ジョブインタビュー
Voila!泌尿器科専門医の竹村です。
前回記事の続きで,オーストラリアの3つの病院のクリニカルフェロー(泌尿器科)にアプライしたお話です。
今回はフェロー選考面接についてです。病院ごとの特色がよく表れていて興味深かったです。
Princess Alexandra Hospital
ここはシドニー,メルボルンに次ぐ,オーストラリア第三の都市「ブリスベン」にあるクイーンズランド州最大規模の病院です。
オーストラリア国内においては医療のデジタル化にいち早く成功した病院としても有名なようです。
泌尿器科的には州で唯一の腎移植施設としても見逃せません。これまで通算5,000例以上の腎移植がおこなわれています。
今回応募した3病院のうち面接第一弾でもあり,事前の情報もないため全く勝手が分かりませんでした。
ただ,カナダに来る時にそうであったように口頭試問のようなお堅い面接というよりは,キャラクターを見るのがメインだろうと考えて,絶対に聞かれる質問(自己紹介や志望動機など)だけを繰り返し練習して本番に臨みました。
面接官は教授と若手泌尿器科医の2人組でした。
特に教授の方はバリバリのオージーイングリッシュで,結構戸惑いました笑。
質問内容は思い出せる範囲では以下の通りです。
・これまでにどのような経歴を辿ってきて,どうしてこのフェローシップに応募したのか?
・どのような手術を自身で完遂できるのか?がん以外の診療経験はあるのか?
・現在カナダではどのように給与が支払われているのか(スポンサーはいるのか)?
・博士課程ではどのような研究をしていたのか?
基本的には和気藹々とした雰囲気でしたが,あくまで即戦力を求めているという印象でした(今後の伸びしろではなく,「いま現在何ができるのか」についてしつこく問われた)。
面接時間は30分弱で,手応えは65点。
博士課程でオーストラリア国立大学と共同研究をしていたので「キャンベラに1年くらい留学してた時はしょっちゅう友達とBBQしてたよ」と話した時に,若手が「俺も昨日やったよ!!」と反応すると,それに呼応するように教授が「えー!昨日,本当に?あぁ,確かに天気良かったもんな!」みたいにツッコミを入れながら最高潮に盛り上がっていました笑。
老若男女を問わずBBQが大好きなんですよね,オーストラリア人は。
The Alfred
オーストラリア第二の都市(近々シドニーを抜いて国内最大の人口を擁することになると予想されていますが)メルボルンにある名門病院です。
信憑性は定かではありませんが,巷の病院ランキングでは国内1位のブランド病院だったりします。
それを反映してか,面接もどこか物々しい雰囲気でした。
面接官は教授と若手泌尿器科医に加えて事務員も1人同席されており,逐一メモを取っていました。
質問内容は思い出せる範囲では以下の通りです。
・どうしてこのフェローシップに応募したのか?
・どのように私たちのことを知ったのか?
・あなたが自信を持ってできる手術は?
・これまでにレジデントや医学生に対する教育の経験はあるか?
・外科医にとってのリーダーシップとは?
・あなたにとっての理想の外科医像は?
・今後何らかの理由でオーストラリアに来れなくなる可能性はあるか?
・あなたのキャリアゴールは?このフェローシップに期待することは?
・カナダの医師免許は持っているのか?
いやぁ,いま思い出してもキツい・・・ハイライトされている質問とか日本語でも返答に窮します。
しかもその間,能面のような事務員は難しい顔をしながらメモを走らせているのですから苦笑。
理想の外科医像については考えたこともなかったので苦し紛れに,亡き父のことを話させていただきました。
一般的にこの手の質問に身近な人のことを話すことはタブー視されているような気もしたのですが,結果的に面接官は深く頷きながら「Excellent!!」という賛辞を下さいました・・・ここは天国の父に感謝ですm(_ _)m
これだけの質問があったものの面接時間は20分少々で,手応えは50点(リーダーシップについて小学生みたいな初歩的なことしか話せなかった)。
Royal Adelaide Hospital
ここはオーストラリア第五の都市「アデレード」にある南オーストラリア州最大の病院です。
ロボット手術の教育プログラムが有名で,世界中で卒業生が活躍しているのが魅力です。
しかし,なんと面接の日に私は夏休みを取ってモントリオールに来ておりましたので,旅行先で面接を受けることになってしまいました。
オンライン面接で重要なのは「映える」環境作りなのに,やや薄暗いホテルの一室からインタビューを受けることに・・・。
面接官は泌尿器科医2人に加えて看護師1人と事務員1人が同席されており,今回の面接史上で最大規模となりました。
質問内容は思い出せる範囲では以下の通りです。
・自己紹介して下さい
・どのような手術を自身で完遂できるのか?
・研究経験はあるか?
・教育経験はあるか?
・私たちの施設では一般泌尿器科(救急対応含む)の症例が多いが,これについて何か考えはあるか?
・(看護師から)もしもあなたの部下のレジデントがナースに対して悪態をついていたらどのように対応するか?
・あなたのキャリアゴールは?
お気づきかも知れませんが,ここまで来ると質問の内容が重複して来ています。
Princess Alexandra Hospitalではやって来た手術についての話ががんに偏りすぎていたことが反省点だったし,The Alfredでは教育経験の話が表面的な内容にとどまってしまったことが反省点だったので,そこのところを改善して(やや盛り気味に)自己アピールができた感触がありました。
看護師からの質問に対しても,「チーム医療において調和を乱すような行為は許されないのできちんと謝罪するように指導しなくてはならないが,その一方でどのような理由でそのような行動に至ったのかを傾聴して今後のより良いチーム作りに向けてフェローの立場から積極的にコミットしていきたいと考えます(キリッ!)」と歯の浮くような台詞がスラスラと自然に出て来ました。
面接時間は30分弱で,手応えは場数を踏んできたなりの成長を感じて80点。
面接を終えてみて
アルフレッドの面接はいくつかの質問が激ムズで緊張しましたが,他の2病院の面接も含めて総じて和やかな雰囲気でした。
当初危惧していたような,突然CT画像を見せられて治療計画を聞かれるような口頭試問も一切ありませんでした。
結果はどうであれ,これらのインタビューを通じて自分を見つめ直せたことだけでも十分な収穫と思えるような経験でした。
一昔前であれば面接の度に飛行機で現地に赴かなくてはならなかったのでしょうから,世界のどこにいてもオンラインで面接が受けられるとは本当に良い時代になりました。
逆に,画面越しの人に伝わるくらいに自己アピールするには,対面のインタビュー以上に明確な受け答えをすることが必要だと感じました(我々,非ネイティブにとってはただでさえ英語というハンディキャップがありますからね)。
駆け足でオンライン面接3連戦の概要について述べましたが,人事は尽くした(?)ので天命を待ちたいと思います(ナムナム)。
次回記事に続く。
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