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「メタアナリシス」Step 1&2
Voila!泌尿器科専門医の竹村です。
さて,前回記事で軽く触れた二次研究(主にシステマティックレビュー&メタアナリシス)の各ステップの紹介です。
Step 1:システマティックレビュー
後にも先にもこのStepが最重要かつ,最も骨が折れる作業となります。
通常複数のデータベースを用いて,くまなく既存のデータを抽出する必要があります(解析に含まれるデータを恣意的に選んではならない)。
そのためには,「複数のデータベース」を「複数の研究者」が「統一された基準に沿って」検索する必要があります。
データベースとして有名なところは医学分野ではPubMedですが,PubMedに掲載されていない灰色文献(=grey literature)である学会発表の抄録なども含めることで極力バイアスが取り除けます。
と言うのも,結果が有意な研究は結果が有意でない研究よりも3倍出版されやすいという事実があるため,例えばPubMedに掲載されている論文の結果だけを統合するとデータが偏るためです(出版バイアス)。
検索に使用するデータベースとしてはEmbase(Elsevierが提供,最大規模の収録対象誌を有する),Medline(PubMedの医学文献のデータベース,Embaseに次ぐ大規模な収録対象誌を有する)Web of Science(灰色文献に強い)などが有名どころでしょうか。それぞれのデータベースに固有の検索手法などありますが,細かいところなので割愛します。
抽出された候補文献の管理においてはCovidenceというオンラインツール(https://www.covidence.org)が重複文献の除去や複数人でのスクリーニングに際して非常に有用でした(ただし有料)。
Step 2:クオリティアセスメント
抽出された文献から統合したいデータを抽出する前に,まずは各文献の質を評価する必要があります。
研究の種類によって幾つか提唱されている手法があります(今回の研究では非ランダム化試験に適したThe Newcastle-Ottawa Scaleを使用)。
また論文内のデータが不足している際には,Appendixを参照したり,論文の責任著者にコンタクトを取ったりして,なるべく欠損値が生じないよう努力することが推奨されています(多忙な研究者からのメールの返信はあまり期待できませんが・・・)。
ここまで来てようやく本解析が可能となりますので,次回記事ではいよいよメタアナリシスの真髄に迫っていきたいと思います。
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