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カナダ生活2022.05.05

「カナダ生活(医療編)」#2 GPとED

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Voila!泌尿器科専門医の竹村です。

さて,前回記事では医療者目線からカナダの医療制度について書きましたが,今回は逆に患者目線からカナダの医療について書いていきたいと思います。


GPという(有難いけど時に面倒な)存在

日本との大きな違いはまず家庭医(GP=General Practitioner)の存在です。

彼らは基本的に老若男女,疾患の種類を問わずなんでも診てくれます。

なんなら前立腺がんや精巣がんで即座に治療が不要な患者さんのActive surveillance(経過観察)まで請け負ってくれるのです。さらには,小児の外傷から妊婦さんの経過観察(20週くらいまでのことが多いようです)までも彼らの守備範囲ですから,日本の(もちろん例外もありますが)形ばかりの総合診療科とは一線を画しております。

しかし!患者サイドからすると(特に移住した際には)とっても面倒臭いのです。

まず,GPを探そうにも人気のあるクリニックはすでに新患の受け入れをしていない・・・。


こんなサイトを駆使してようやく新患を受け入れてくれるクリニックが見つかっていざ診察して貰おうと思っても,「あなたを当院で診察するために,まずは Meet-and-Greet(ご挨拶&これまでの病歴聴取などのための面会)が必要です」と言われます。

さらに,Meet-and-Greetを済ませて晴れて正規の担当患者となっても完全予約制のクリニックが多く,たとえ具合が悪くて連絡をしても「一番早くて次空いてるのは来週の金曜日だから予約しておくけど,それまでに症状が悪化したらED(以下参照)に行ってちょうだい」などと平気で言われます・・・。


EDという(ディズニーランドも真っ青な)夜の人気スポット

なにがすごいって待ち時間です。

まずはこちらをご覧ください。

ある晩のことです。2歳の息子が突然夜間に大号泣し始め,腹部が著明に膨隆・鼓腸あり,腸蠕動音亢進,触診上は腫瘤は触れず腹膜刺激症状はないものの,今にも嘔吐しそうな様子でゲップを繰り返しておりました。

「これは最悪の場合,腸重積症でオペもあり得るかも知れないぞ⁉︎」と考えて,ED(救急)受診を決意したものの・・・なんと市内唯一の小児病院の待ち時間は8時間でした!

「もうその頃には朝,いや昼前になってまうわ!というかそれまでに腸管が壊死してまうやろ〜」と心の中でエセ関西人がツッコミを入れましたが,「小児病院ではなくとも小児の一般診察は可能で,そこで緊急性が高いと判断された場合には小児病院に搬送可能」ということを,まだしも待ち時間の短かった近所の病院に電話で確認の上でGo!!


待合室には(おそらく薬物中毒でキマってしまい)身動きひとつせずに長時間同じ姿勢で固まっている患者やら,ご高齢で車椅子移動にも関わらず付き添いが誰もおらず(日本なら救急外来で簡単な検査と点滴だけ入れたら即入院にされているような)ぐったりしている患者やらがごった返し,その間にも次から次へと絶え間なく具合の悪い患者たちが押し寄せて来ては自分の番を何時間も粛々と待ち続けているような野戦病院でした。


もうね,日本の救急医療の有難みを痛感しながら本当に長いながい待ち時間を過ごしました。

ことの顛末につきましては次回記事で書きたいと思います。

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